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第11回モビリティデザインコンテスト受賞者インタビュー

「表彰式と講習会を終えて。今、感じること。」

表彰式とスケッチ講習会を終えたばかりの興奮さめやらぬ受賞者の皆さんに、
表彰式や講習会の感想、今回受賞したことで将来に対する考え方に変化があったかなど、
今の気持ちを率直に聞いてみました!
これから応募される皆さんへのアドバイスもお届けします。

【表彰式直後の記念撮影】左より、山口レオン剛史さん(ダビンチ賞 中学生の部)、浜名克聡さん(審査員特別賞)、 宇野暁人さん(審査員特別賞)、菅﨑瑞希さん(モビリティデザイン大賞)、増田朔山さん(モビリティデザイン賞 高校生の部)、加藤凜さん(モビリティデザイン賞 中学生の部)

Q1授賞式を終えて、今の率直な感想を教えてください。

「他の受賞者と出会えたことが嬉しい。身近にあまりいないから。」

司会
浜名さんは昨年も受賞しましたが、リアルな授賞式は初めてですね。どうでしたか?
浜名
リモートじゃないので、より新鮮でした。また委員会20周年記念の場に居られたことはすごく嬉しかったです。
宇野
10回以上続いているコンテストに入選できたことは自分でも驚きました。今日大賞やデザイン賞など他の作品を見て「皆すごい!」と思って、いざ自分の作品を見たらショボいな、と。世の中にはすごい人がいっぱいいる。身近にそんな人がいなかったのでいい刺激になりました。いろんな人と出会えて、すごい人がいることを知れたことがよかったです。
菅﨑
まさか大賞を獲れるとは思っていなくて、メールを見た時に滅茶苦茶驚いてスマホを投げたのを覚えています。そのあと、自分が大賞なんだと少し傲慢だったところもありましたが、今日顔を合わせて作品を見ると、結構僅差だったんじゃないか、と。
自分はアイディアも一つしか提案していないし、色々な考えを提案する力はまだまだだな、と気付けて、周りから刺激をもらえてよかったです。
【大賞表彰状授与】大賞受賞の通知を見て、思わずスマホを投げた菅﨑さん。自動車技術会 東常務理事と。
増田
会場入った時に雰囲気が硬いと感じました。デザイナーが運営する会なら、服装がもうちょっと軽くてもいいのでは。今日パーカーで来ちゃえ、っていうぐらいの雰囲気作りでもいいんじゃないでしょうか。技術会というと硬い感じを受けますが、デザインはいい意味でこんだけちゃらんぽらんなんだぞ、っていう感じで、変に硬くならなくてもいいのではと思いました。
一方で、皆と会ってみたら、僕も同級生にデザインを目指す人が一人もいないので、この後インスタグラムの交換もするつもりですが、いい機会になりました。
加藤
今、こうして皆さんの感想を聞いたり、いろんな人の考えを聞いただけでも勉強になるし、今日改めて皆さんの作品と顔を合わせてみて、人それぞれの考え方・価値観を学ばせて頂けたと思います。
僕、東京来るの初めてだったんですよ。昨日から東京入りして、表彰式を兼ねての東京旅行みたいな感じで楽しめたのでよかったです。絵の描き方とか色々教えてくれた父親に感謝したいです。
山口
あまりこういうデザインのコンテストはないので、プロのデザイナーに認められたことが嬉しかったです。同級生もあまりデザインをやっている人がいないので、それもよかったです。

Q2.プロのモビリティデザイナーによるスケッチ講習会の感想を聞かせてもらえますか?

「デザインするにあたって大切なことを教えてもらった。自分の足りない所を補ってもらった、有意義な時間。」

宇野
僕は、円や線の描き方から教わりました。普段デジタル(コンピューターの描画アプリ)で描くことが多いので、丸とかもツールを使えば簡単に描けてしまい、それに頼りっきり。アナログ(手描き)でも描くけれども一発で描けるような感じではない。そういう細かいところまで教えて頂いて、プロの方なので勿論上手で、こうしたらもっとよくなるよとか。自分が足りないところ、期待していなかったところを補って頂いて、すごく有意義な時間が過ごせました。
【スケッチ講習】手描きでの基本的な図形の描き方、作品を魅力的に見せる角度と立体構成を教わる宇野さん。
菅﨑
自分は独学でスケッチを描いてきて、やっているとしたら受験対策のデッサンぐらいで、デザインの本質みたいなところが全然理解していなかったことを講習会で気づけました。
特に最初のラフスケッチの段階の重要性を教えてもらったのですが、自分の形のアウトプットだけじゃなくて、人にも説明できるくらいのスケッチを描くこと、あとは光の方向を試していろんな角度から描くことで、自分の頭の中にある大体の雰囲気やイメージをどんどん明確にしていくことを教わりました。デザインするにあたって大切なことを教えてもらいました。
大学だけじゃなくて、その先のモビリティデザイナーへの道が明確になったという気がします。
【スケッチ講習】色々な角度から描き、自分の中のイメージをより明確にして、人に伝えることを教わった菅﨑さん。
増田
実は今日、デザイナーの方と結構お話しをさせて頂きました。このコンテストが始まった10年前当初よりも、Youtubeとかで何百倍も教材がごろごろ転がっているわけで、どちらかというと絵を教わることよりも、デザイナーと話しができることが価値が有るんじゃないかな、と感じています。
スケッチの講習会も大事ですが、議論してみたいというか、これからのモビリティデザインってこうじゃないか、とか。その方がもしかしたらもっと面白かったかもしれない。
スケッチ講習では、僕もデジタルでやっていますが、何が一番違うってスピード。自分がやると何時間もかかってしまうのを、1時間弱で終わらせてしまうところは非常に勉強になりました。

だけどやはり僕が思うのはもっと喋ってみたかった。自分のビジョンと何が違うのか?というのは比べてみたいなと思いました。
【スケッチ講習】コンピューターの描画アプリを使って、デジタルスケッチの描き方を教わる増田さん。
加藤
父がデザイナーなので、絵の基礎は小さい頃から教わっていました。父はいろんなものをデザインするのですが、今回のプロデザイナーの講習会はクルマのデザインを極めている人達なので、父が知らないような技術、例えばコピックとかの基本的な色塗りの仕方を教えてもらいましたが、グラデーションの付け方、光と影の表現方法、地面の反射など、詳しいことが聞けて勉強になりました。
【スケッチ講習】コピックやパステルを使って、グラデーションの表現方法を教わる加藤さん。
山口
まず事前に僕の絵を描いてくれて、準備してくれていたことにびっくりしました。いつも自分で絵を勉強していますが、違うことを教わることが出来てよかったです。
コピックはYoutubeで調べて見ていましたが、初めて実際に使ってみたら自分の表現の仕方が変わりました。また、ディティールの表現でどうやって描くのかと話していたら「じゃあバイク持ってくるよ」って、展示してあったバイクを目の前に持ってきてくれて。実際に見ながら描くって大事だな、って思いました。
【スケッチ講習】展示していたバイクを持って来てもらい、実際の陰影の見え方と表現方法を教わる山口さん。
浜名
ネットで調べれば、デザイナーの仕事とかインタビューの記事は見つかりますが、生でデザイナーと会うと全然違います。生であるからこその学びがあったと思います。
例えば、デザインをするときの「量」と「質」の問題で、「質」より「量」なのか、「量」より「質」なのか、「量」や「質」を使い分けることなどです。
デザイナーならではの視点から話をしてくださったことにとても価値を感じました。
【スケッチ講習】スケッチの目的により「量(たくさん描いてアイディアを出す)」と「質(アイディアを深め、細部や質感などを描き込んで表現)」をどう使い分けるかを教わったという浜名さん。
宇野
手描きでの線の描き方を教えてもらって有難かったのは、僕は高専の機械科で製図を描くのですが、製図は1,2年生の時は手描きで、そこから3D CADをやっていきますが、基礎という意味で手描きが大切だということが、上の学年になり新しいツールを使うほど身に染みてわかる。
配置の仕方、線の描き方、全部含めて手描きは素晴らしいな、と思っていて、かつそこが丁度自分の足りない部分でもあったので、今回はうまいこと合致したかな、と思います。
例えば増田さんはデジタルで上手に描けていますけど、こういう人にはこれ、と、人に応じた教えた方があると一番いいのかな、と思います。
僕の場合は今回は自分に合ってたので、講習をこうしてほしい、という要望はないのですが、 手描きは大切かなって思うので、敢えて強く推しておきます。
司会
講師のデザイナーは皆さんの作品をリファインしながら、それぞれに教えるべきところを考えて来ていると思いますよ。
増田
自分がデジタルスケッチを出来ているとは思っていないですが、冒頭のデジタルデモンストレーションの講習はいらなかったと思います。あの20分見ている時間を、マンツーマンの講習に充ててほしかった。デモは一方通行なので、どこで見ようと構わないのだから、あとでビデオとして送ってしまえばいいものだと思いました。
菅﨑
僕はあのデジタルデモは良かったと思っていて、観光地をネットで見るよりも生で見るのがいいように、プロのデザイナーが目の前の絵を完成させているというのを見ているだけで、結構感動しました。
増田さんは向上心が高いと思うのですが、学ぶ点というよりも感動する点で言ったら、今回のデモはとても良かったと思っています。
【デジタルスケッチ描画のデモンストレーション】目の前でレンダリング(造形だけでなく、質感や雰囲気まで表現し、アイディアの魅力を表現するデザインスケッチ)を完成させてゆく。マンツーマンスケッチ講習の直前に行った。

Q3.コンテストに受賞して、将来に対する考え方に変化はありましたか?

「モビリティデザイナーのイメージが明確に。将来の選択肢の一つになった」

菅﨑
デザインを考える過程で、クルマやモビリティのことをいっぱい調べて、新しく知ることや気づきがたくさんありました。コンテストを出す前の過程が結構大きかったかな、と。
じっくり考えている間に、自分の心の中も変わってきて、なんとなくあったカーデザイナーという職業も少しずつ明確になって、モビリティデザイナーがこういうものなのか、ということを理解していくきっかけになったと思います。

菅﨑 瑞希さん【モビリティデザイン大賞】高校2年

大賞受賞の連絡メールを見て、信じられずにスマホを放り投げた管崎さん。
今回の作品は東京への一人旅行の経験を活かし、ユーザーは徒歩や自転車での移動を想定。⼈間らしい営みを残しつつ、⼤きな荷物のせいで活動ができないという不可能を可能にすることに価値があると考えた。
趣味は油絵。⼈のためにするデザインとは異なり油絵は⾃分のためにするので、絵で⾃分と向き合う時間が取れるのが楽しいという。

増田
実は僕、全然クルマのこと知らないんです。小5位の時に初めてモーターショー行って、ワーッ!と思った位で、カーデザイナーになりたいとかカーガイとかいうわけでも全然なかったのですね。

逆に開き直って、クルマ好きじゃないイーロン・マスクがテスラ作ったのだから、デザイナーもそれぐらいの心意気でいいんじゃないか、カーデザイナーはクルマ好きがなるべき、みたいな縛りは、もうそろそろなくなってくる時代なんじゃないかとは思っていたものの、ほんのさっきまで不安だったんです。クルマ好きの受賞者の方たちの話しが全然わからないし、その人たちがカーデザイナーになりたい、とも言っていたので…。そうしたら隣で別の方が「僕も知らない」って言うのを聞いて、不安が一気にスーッとおさまったというか。勿論最低の知識は必要ですが、そういうタイプのデザイナーがいてもいいんじゃないか、と。

モビリティの懐の大きさみたいなものを受け止められて、巡り合わせではないけれど、今回はいい機会になった、と感じています。
加藤
父の後を継いでデザイナーになりたい、というのが小さい時からの夢でした。その夢自体の考え方は受賞しても変わりませんが、夢への自信がついたかな、と思います。デザイナーである父と話すことはよくあるのですが、他のデザイナーの方と話すことはないので、今回プロデザイナーの審査で賞を頂いて認められたこともあるし、講習会でも色々学んで技術もついたし、夢に近づいたな、という感じです。
山口
デザイナーってカッコイイな、という印象が元々あって、今日実際に見て、そうだな、と思いました。
あといつも自分が描いているノートを見せたんですけど、それを見せた時に「すごい!」と言われて、自分がやっていることがデザイナーを目指す上で正しいんだな、と思えました。そういう意味で夢に近づけている、と感じることができました。
司会
ちょっと見せてくれますか?
たくさん描き溜めていますね。アイディア帳みたいな感じですね。
わー、いっぱいクルマ描いてる、すごい!!

山口 レオン 剛史さん【ダビンチ賞 中学生の部】中学2年

今回の応募にあたり、日常的に使わない言葉である「モビリティ」とは何かを考えたという山口さん。作品を通じて伝えたいのは、個⼈規模で考えることと地域社会、さらには世界という⼤きな視点で考えていく必要があるということ。今回は通学の荷物が重い、という自分の困りごとを街全体のシステムへと発展させた。陸上部の長距離で効率よく走れるフォームを探求しつつ、茶道のお稽古にも通う。

浜名
漠然とデザイナーというものを知っていましたが、今回実際に会ってみて、具体的にどうやったらなれるのかということを知ることができ、そこのイメージがはっきりしました。
将来何になりたいかは、そんなに考えられていませんが、会って話してみて一つの選択肢が増えたというか、漠然としたものが多少固まって見えたみたいなところはあります。
宇野
受賞して考え方は変わったかな、と思います。中学生の時は、美術で勝手に県のコンテストとかに出されて入選していたりしたのですが、高専生になってから今回初めて応募しました。
これから大学への編入や就職を考えていく中で、漠然とデザイン系とか、絵を描きたいなというのはあったのですが、今回の受賞連絡を受けて調べようと思いました。デザイン系の大学はどこだとか、編入を受け入れているのはどこだろうとか...。自分は何をしたいのだろうと考えたり、自分と向き合うきっかけになりました。

元々プロダクト系のデザインに興味があり、クルマは好きだけれども、車の絵だけじゃなくて色々な絵を描いてきた中で、モビリティデザインも一つありかな、と思うようになりました。

僕は高専の機械科ですが、基本的に製図とかをするように硬く考えてしまうというか、柔軟というよりは偏った視点になりがちです。学校の教育方針でも、柔軟性や感性を鍛えるような授業が増えてきているので、その中で自分もプロダクトやデザイン系に興味を持ちました。
このコンテストでは、僕が高専生の初の受賞ということですが、これをきっかけに高専生の皆さんにも、 もっと柔軟な発想を持つために、デザインに興味を持ってほしいと思いました。

宇野 暁斗さん【審査員特別賞】高専3年

初の高専生受賞者となった宇野さん。⾃分の思いやイメージを形にする経験や、コンテストに挑むことが、進学や就職活動に役⽴つと思い応募したという。機械科で普段製図を描くように物事を硬く考えがちというが、油粘土で形を考えてから絵に起こしたという作品からは、モノづくりが大好きな情熱とユーザーである患者に寄り添おうとする優しさがにじみ出ている。テニス部の部⻑として活動しており、全国⾼専⼤会に向けて⽇々練習に励む。

Q4.絵を描きはじめたきっかけや、描くことが好きだと思ったのはいつごろからですか?

「描くのが好き、乗り物が好き、デザイナーへの憧れ・・理由はそれぞれ。でも人に褒められると嬉しくて、更に描くのが好きに。」

増田
車が好きだからデザインや絵を始めたんじゃなくて、カーデザイナーという職種に惹かれて始めました。プロフェッショナル、という番組がすごく好きで、佐藤可士和さんとかデザイナーの方もよく出ていた。フェラーリの奥山さんの回を見て、NHKのもう一つのピニンファリーナの特番も見ました。
カーデザイナーって機密もあって、他のフリーのデザイナーと比べてもあまり表に立つ仕事ではないかもしれませんが、僕は職業カーデザイナーってこんなに魅力的な仕事があるんだ、と思いました。

あれは僕が生まれた2002年放送で大分古いですが、僕が小5の時、東京モーターショーで興奮しているのを祖母が嗅ぎつけて、再放送を録画してくれました。「カーデザイン」という職種があるよ、って。で見たら、奥山清行えぐいカッコイイ。

そこから6年経って、高2になったら進路を考えなきゃいけなくなり、高2まで英語だけやっていましたが、他に何もやりたいことがなくて。その時、昔のプロフェッショナルをまた見直して、デザイナーになろうかな、って思い、高2の秋から絵を描き始めました。1年半位前。そういう感じです。僕が絵を描き始めたのは。

増田 朔山さん【モビリティデザイン賞 高校生の部】 高校3年

今回がラストチャンスだと知った時の衝動で応募したという増田さん。「カーデザイナー」という職業に惹かれて、海外の進学を目指した増田さんは、高校2年の秋から絵を描き始めてモビリティデザイン賞を見事獲得。学生会議UNIS-UNで学んだ都市農業のトピックとモビリティを組み合わせた。インタビューでは率直に貴重な意見を述べてくれた。趣味は散歩とAIで遊ぶこと。

加藤
家と会社が引っ付いているので、いつでも父の仕事が見れます。大体の家庭は、子供は父親が何しているかわからないじゃないですか。そういうのがわかる環境に育って、直接父親から、本来ならこういう講習会でしかできないことを家でできたので、いい刺激になっていたと思います。

絵を描き始めたのは、2,3歳ぐらいから。最初はよくわからず丸描いて、車とか描いていました。MOA美術館児童作品展に、小2の夏休みの時から応募を始めて、小4の時に三重県四日市のエリアとして選ばれて、その時はそれで終わりました。

次はもっと良い賞を獲ろうと思って、小5の時に海王丸という船が四日市港に来たので、それが僕の四日市の町の空を飛んだらきれいだろうな、と思って描いたら、その絵が全国に行って銅賞をもらいました。実際に展示されたMOA美術館に行き、金賞・銀賞も見て、同級生や上級生の作品を見て刺激にもなりました。

その後、小6はやる気なくしましたが…中学になったら父がやるぞ、ってなって、父がこのコンテスト見つけてきました。やってみろよ、って。
去年は佳作でしたが、今年は小4の時みたいにもっといい賞をと思い、なんなら一番狙ってやる、と思って臨んだら、このすごい賞が頂けました。

加藤 凜さん【モビリティデザイン賞 中学生の部】中学2年

昨年佳作に入賞し、今年はもっと上位入賞を獲りたいという思いで挑戦したという加藤さん。デザイナーである父の背中を見て育ち、幼少の頃から絵の手ほどきを受けてきたが、今回の車とお酒の両方を楽しんでもらいたいという作品は、その家族の困りごとを解決するという愛情とユニークさに溢れたもの。根っからのクルマ好きで、ゲームを始め、車のカスタムや写真を撮って楽しむ。

山口
いつから絵を描くのが好きだったか憶えてなくて、親に聞いたら2歳半だと。その時はあんまり乗り物とか描いてなかったのですが、日本に引っ越してきて、日本の電車の先頭車両って客席側から窓ガラス越しに運転席が見えるじゃないですか。それが海外(香港)ではなかったので、すごいっ!て思って。そこから飛行機とか船が好きになって、それで車も。乗り物全般が好きになって...。乗り物に関係して、その中にある椅子とか家具とかも考えます。

自信がついたのは、まだ日本語がわからない幼稚園の時に絵を描いて出したら、先生が選んでくれて高島屋で展示されて...それで自信がついたというか…。自分は絵を描くのが好きなんだ、と思いました。

そのあとも学校からの電車をテーマにしたコンテストに応募したり、自分で調べて応募したりしていました。
浜名
絵を描くことが好きだったというよりは、車が好きでした。幼稚園や保育園ぐらいの時に、絵本見ているよりは図鑑を見ている方が楽しかった。クルマを描き始めたのは、初代フェアレディZのリアのルーフの傾きが当時すごい好きで、それだけをずっと描いてました。幼稚園の頃ですが、それが一番古い記憶。絵を描くのが好き、というよりは、好きなものを描きたいということだったと思います。
宇野
描き始めたのは幼稚園とかだったとは思うのですが、自分が好きだなあ、得意なのかなあ、と自覚したのは小6、中1頃だったんじゃないかと。周りの子に、うまいね、と言ってもらえたことは、そう思えたきっかけには絶対なっていると思います。
入選とかもそんな大きいところではないけれど、ちょくちょくさせてもらえたし、入選したから好きとかではないですが…。
絵を描くのが好き、手を動かすのが好き、モノを作るのが好きだから今の学校(高専)にも通っているわけで…。小さいころから好きだったんでしょうね。
菅﨑
幼稚園・保育園の頃から絵は好きだったとは思うのですが、きっかけだと思うのは、小学生の時に兄が漫画を描くのが趣味で、自分も真似して自由帳に漫画を描いていたんですね。クラスメートとかに見せた時に、絵がうまいね、ストーリーも面白いねって、いっぱい皆が机の周りに集まってきて。
ほめてもらったことをきっかけに絵をいっぱい描いてやろうと思って。それを続けたのが絵を描くことが好きになった理由かな、と思います。
あの時は将来の夢は漫画家でしたが、紆余曲折して今はカーデザイナーになりました。

Q5.これからモビリティデザインコンテストに応募してくれる皆さんに、アドバイスをお願いします。

「困りごとをいかに見つけるか。一見関係ないことでも結び付けて発想できるよう様々な経験を。自分ができる表現方法で。自分のカッコいいを信じる。」

加藤
今世の中に求められているものは何か、とか、別に自分が求めているものでもいいのですけど、今の問題を背景に、いかにアイディアを形に落とし込めるかが大事になってくるかと思うので、毎朝ニュースを見るとかでもいいので、世の中の課題とか問題を日頃から知ることが大事かな、と思います。
山口
今回は自分のことから考えて、荷物が重い、というのを、どうやったら解決できるかを考えた時にこのアイディアが出ました。色々大きく考えずに、自分の困っていることを社会的にどうするかっていうことを考えるといいのかな、と思います。
浜名
デザインを考える意味では、自分が一番好きなデザインにすること、あくまで自分がかっこいいと思うものをデザインすることが大事かな、と思います。こうすれば周りの人にはよく思ってもらえるかな、ということではなく、自分はこれがいいんだと思うものを。その方が考えやすいし、デザインとしてもまとまりやすいかもしれません。

浜名 克聡さん【審査員特別賞】高校2年

昨年の審査員特別賞受賞に続き、今年も同賞を受賞した浜名さん。絵を描くのが好き、というより、好きな物を描くのが好きだという。昨年も今年も、メカ愛を感じさせる機能をわかりやすく説明しようとする細かく丁寧な描写にその気持ちが表れている。自分がカッコいいと思うものを信じて描く、という芯はブレない。趣味は読書。

宇野
アナログでもデジタルでもなんでもいいのですが、人によって得意不得意あると思います。
僕は空間を捉えるのがすごく苦手だったので、今回粘土を使って、実際に形を作ってみて、そこから絵に起こすという作業をしました。アイディアはあるけど、絵が苦手だから、、というなら、取り敢えず手を動かしてみるというのは大事かな、と思います。やり方はいっぱいあると思うので、苦手だと思っても壁を作らずに、自分のできるアプローチで作品を作ってほしいと思います。
司会
高専生の方へのメッセージはありますか?
宇野
高専の4,5年生は新しいことや本格的な研究をすると思いますが、このコンテストでは、どういう人が何を求めていて、どう使って、何のためにこんな形にしているかを学べると思うので、柔軟な発想を持って、いつもと違うことを考えることができます。力試しではないですが、経験すると高専生活に役立つと思うので、是非チャレンジしてほしいなと思います。
菅﨑
第10回から第11回になるにあたり、カーデザインからモビリティデザインコンテストに変更したことが大きいと思うのですが、ただクルマをデザインするというだけではなく、新しい価値観のクルマとか移動のシステムを考えるのが大事だと思っていて、そういうアイディアを出すには、たくさん色々な経験をすることがいいと思います。一見クルマと全く関係ないシーン、例えばキャンプとか。

今回、他の受賞作品で出てきた農業とか、そうしたアイディアはなかなか出ないと思いますが、そういう一見結びつかないものを繋げるには、たくさんいろんな経験を積んでおくといいと思います。
僕も東京に一人旅行に行ったことがきっかけで、車を所有している人が少ないなら、どういう問題点があるかというプロセスで考えていったので。
増田
正直ネットにアイディアはたくさんあるし、そのアイディアを使いこなすことの方が100倍難しいじゃないですか。以前どこかのデザイナーの方が言っていましたが、今のクルマの産業から新たなデザインを作り出すのは不可能で、今あるデザインの要素を使って、新しく組み替えていく方法しかないって…。今のを改善するしかできない、もう出尽くしちゃっているから、と。
コンセプトに関してもぶっちゃけ、新しいもの、一番最初っていうものはないと思う。もう既に誰かがつぶやいている。

僕は海外に進学したいと思っているから、海外の方に目を向けているのですが、一旦日本の方に目を向けてみると、日本てすごくコンセプトが重宝されているというか、デザインコンテストでも、農業だから、高齢者のためだからとかで当選したよ、とか。
海外のコンペ見ると、カッコよさとかカワイさとかそっちに全振りしてる感があると思う。さっき授賞式で感受性豊か、とか言っていましたが、だったらそっちに全振りしちゃって、コンセプトとか意外になくてもいいんじゃない、とか。
コンセプト無いから応募できないよ、ってという人もいるかもしれないが、海外見たらそんなこと全然なくて、どっからドアが開くのかわかんないようなデザインがたくさんあって、日本はクソ真面目。一回そういうふうに振ったコンテストもあっていいんじゃないか、と思いました。
【インタビュー風景】左手前から時計回りで、山口レオン剛史さん、浜名克聡さん、宇野暁人さん、菅﨑瑞希さん、増田朔山さん、加藤凜さん。表彰式、スケッチ講習会に続いて大変お疲れだったと思いますが、自分の意見をしっかり語ってくれました。本当に感謝です。
司会
皆さん、率直に意見を聞かせて頂き、ありがとうございました。
改めて受賞おめでとうございました。本日はありがとうございました!