第10回カーデザインコンテストの受賞作品一覧

作品名「SOLα（ソラ）」

矢野光佑さん（川崎市立南菅中学校２年）

【講評】エコカーでありながらスポーツカーの性能を兼ね備えた意欲的な車です。アゲハ蝶をモチーフにしたというデザインは、可憐そうなイメージに反して、ギラギラとしたアクの強い野心的な走りの力強さも表現しています。柔と剛を併せもつ独特な世界観にあふれたデザインとなっています。スポーツモードとセーフモードでカラフルにカラーリングが変化する最も特徴的な部分はソーラーパネルとなっており、循環をアピールするコンセプトとも上手く繋がっています。ロゴやマークの表現の仕方も含め、ブランディング観点をしっかり持っていると感じられます。総合的に優れている作品です。

作品名「人楽車」

落合　柚巴さん（栃木県立足利工業高等学校３年）

【講評】昔ながらの街乗りモビリティである人力車をモチーフに、その楽しさを引き継ぐという発想が面白い作品です。人力車を想起させる古風なエクステリアは古い街並みによくマッチしながら、道路に合わせて自在に変化するタイヤなど最新の技術が盛り込まれていて、昔と未来が入り混じる不思議な魅力があります。他にも、風を体感しやすいインテリア、座りやすいシートなど、いずれも「楽しむ」をキーワードにアイデアを考えられていて、人楽車をよく体現できていると思います。さらに、人力車の楽しさは車を引っ張る車夫との会話で、情報表示のアイデアを「こうしたら、ああしたら」と楽しく想像させてくれる作品でした。

作品名「MIZUGANE」

鵜殿　正基さん（千葉市立高洲中学校３年）

【講評】“車体をねじる“という発想に度肝を抜かれました。技術的制約に縛られる企業デザイナーにはだせないものです。確かに、道路の凹凸に車体が跳ねることなく、這うように走ることができたら、これまでにない走る楽しさを味あわせてくれそうな魅力があり、「どんな走りをするのだろう」、「車体がどんな風に変化するのだろう」と想像力を掻き立てられます。絵の表現の仕方も、ねじるということがよくわかる構図で、伝えたいポイントが直球で突き刺さってきます。鵜殿さんは2020年度、ユニバーサル観点の作品で受賞されています。今回はスポーツカーということで、幅広いデザイン力の成長に我々審査員としては非常に喜んでいます。

作品名「Air Drive」

渡辺　暁宣さん（東京都立八王子桑志高等学校２年）

【講評】バスやトラックといった人流・物流の大型車両を縦にして走る、いや浮くのか？という驚きの作品です。現代あるいは未来において、人流・物流をいかにして効率的に安全に輸送するかは重要です。縦てしまうことで物理的な渋滞要素を低減するという発想はこれまでに見たことがありません。さらに、浮くということが、どんな悪路でも難なく走行して、これまでにない人流・物流の世界を生み出しそうな予感がします。渡辺さんの描く絵は、メンテナンスからサービスまでトータルで新しい世界を壮大に考えていて独創的です。見る人の想像力を掻き立てられる、ダビンチ賞に相応しい作品です。

作品名「unison」

鈴木　一冬さん（松本市立旭町中学校３年）

【講評】ALS患者のために考えられた車ですが、健常者から見ても欲しい・乗ってみたいと思わせるエクステリアデザインなのが素晴らしいと思います。患者にとっては特別扱いされることが嫌な気持ちになるもので、走行していても普通の車と同じように見える、扱われる配慮が重要だと思います。そんなエクステリアがガバッと大きく開くと、なかはALS患者のための構造をよく考えています。ストレッチャーの乗降のし易さを優先してのエンジン配置や後輪駆動、おそらく視線移動操作を取り入れたであろう意志伝達装置など、患者目線のアイデアが盛り込まれています。患者はまさに車とユニゾンして自由を掴めるのではないかと思います。

作品名「SALRANA」

浜名　克聡さん（神奈川県立湘南高等学校１年）

【講評】レンダリング力に優れている作品です。パース、陰影、ギミックの描き込み、いずれも感嘆させられました。バッテリー、関節、シリンダー、放熱ダクトなど、絵を見ればどこに何が、どんな機能であるのかがわかりやすく表現されています。救助で必要なのは4足歩行という従来のタイヤありきのモビリティから脱却しているところも意欲的です。どんな悪路でも問題なく走破できそうながっしりとした足回りと、乗客を守るコックピット部など、浜名さんが描きたいことがイメージどおりにしっかりと描けているのではないでしょうか。メカに対する愛を感じる作品です。